(この記事は2017年に書いたものをリライトしたものです。)
働くわれわれの相棒、キッチンタイマー。
店舗型でも出張型でも、それ以外の業種でも、これまで勤めた店の9割以上で支給されました。どこでなにをしていてもそばにいる存在。
支給されなかった店は、終了15分前になるとスタッフから携帯に電話が来るというシステムでした。出るまでかかってくる方式。まあ安心といえば安心だけど、意外にうざかったです。シャワーとぶつかるから。
飲んだくれすぎてなかなか反応しなかった客のエンジンがようやくかかって今まさに正念場、かつラストチャンス、次の波に乗れなきゃ終わる……! ってところで15分前、とかもあった。タイマーならサッと止めて無視できるけど(それでも音に反応してプレッシャーでしぼむ人いる)電話に出るってちょっといやでした。時計のない部屋だとすごくやりにくかったし。あとスタッフ、めっちゃ忘れる。圧倒的に忘れる。
タイマーって『終了10分前』だけを知るためのものじゃないですよね。
プレイの時間配分の目安にするだけでなく、お客さんにそろそろフィニッシュに向けた努力をと促す、従わない客に数字で現実を示して説得する(重要)、あと疑り深いヤツの目の前でセットすることで「時短とかしてねえからな」と暗に表明していちゃもんを防止する、そういう役目もある。
すっごく昔だけど、携帯電話のアラームを使うよう言われた店もありました。それも店長が言うところのエレガントな音(プリセットのクラシックとか、オルゴールとか)を選ばないといけなくて、いちいち指導されていました。これがまじで意味分からん上に本当にめんどくさかった……。
そこは値段だけ見るとまあまあ高級店? だったため、キッチンタイマーではせっかく高級感がウリなのに雰囲気が一気に安っぽくなる、という店長の言い分。わからなくはないような気もしないこともない(うそ、やっぱわかんない)、辞める前に一度でいいから強めのメタルとか鳴らしてみたいなーと妄想しながら働いてました。ボンジョヴィとか。椿鬼奴さんに熱唱してほしい。
遠くなってしまった昔、わたしが初めて勤めた店で使っていたのはこれでした。うわ〜なつかしい。
よくあるボタン電池じゃなくて単4がゴロンと入っている。それがほんのり透けている90年代っぽさ、ださいけどだんだんかわいく見えてくるんだよ!色違いでピンクもあったと思う。
そこは店舗型だったから特に気にしてなかったけど、連れて歩くにはちょっとどっしりと大きすぎるんだ。いろんな思い出がつまっているせいで、いつまでも売られていてほしいなあとつい思ってしまいますがそろそろ市場から消えていってる模様。
こういうタイプしか支給してもらえないお店もありますね。分と秒のボタンしかないやつ。使えなくはないけれど、うるさい。「1分」と「10秒」しかないやつとかほんとめんどくさいです。何十回もピピピピピピピピ言わせなきゃいけない。ホテヘルなら百歩譲ってまだいい、池袋のあのホテルや新宿のあのレンタルルームの玄関やエレベーターの中やドアの前でピピピピしてる女の子、遭遇すると(がんばれ!私もがんばる!)って気持ちになれるので良い。でも120分以上コースがちょいちょい出る店でそのタイプ持たされると使いづらくてたまりません。
こんなのもあった。
小さい。
画像であんまり伝わらないのがもどかしいけど、めちゃくちゃ小さいんだよ。小さすぎる。
(これ、本来は看護師さんとか美容師さんみたいに忙しく立ち働く人が身につけて、点滴とかパーマとかの時間みたり、そういう使い方する用ですよねきっと)
実際にこれを支給してた店長は「だって女の子たちすぐなくすじゃ〜ん」って言ってたけどね、そりゃなくすっつうのこんな小さいの。愛着も持てないし何よりまず見えない。暗い部屋ではいっさい見えない。
もっと他にないの!? と女子一同でワーワー言った結果、しぶしぶ倉庫へ入って行ったスタッフが「1個しかないんすけど」と言いながら持ってきたのがこれです。
いいんですよ、アナログ。壊れにくいし。電池切れもないしエコだよ。
でもさー動いてるあいだ中ずーっと、カチコチカチコチ音がするよね。制限時間内に客いかせられないと爆発するシステムかなって思う。そして満を持して鳴るときはじりりりりりりりりり!!!って言うよね。避難訓練かと思った。てかなんでこれが1個だけ倉庫に転がってた?
わたしたちがほしいのは、ただの「普通の」キッチンタイマーなのに……。
かくして乙女たちは立ち上がった。
次回につづく。
Photo by Rachael Crowe