盗撮、隠しカメラを見やぶる赤いカード(作れる!)

隠れた小型カメラを発見するためのグッズとして、赤くて薄いカードを見たことがありますか?
何度かTwitterで話題になったことがあるので、わたしが調べたことをここにまとめておきます。

韓国発の盗撮発見グッズ!日本では買えない?

“red card hidden camera” とか検索すると、ミニサイズの赤いカードの画像がたくさん出てきます。盗撮に使われる隠しカメラ、英語だと “hidden camera” とか “spy camera” というのかな。

"red card spy camera"で検索したスクリーンショット

GoogleおよびGoogleのロゴは、Google LLCの登録商標です。

韓国の女優(アイドルだったかも…)さんの私物紹介動画に登場したり、韓国ドラマの中で登場人物の女性が使っていたり、おそらく韓国ではいくぶん…少なくとも日本よりは浸透しているグッズなんだと思います。韓国でも盗撮は社会問題だと聞きますよね。

検索で真っ先に出てくるのはこちらのクラウドファンディング(現在は終了)ですが、これも「韓国クラウドファンディングNO.1Wadizで5,000%以上の成功を収めた 」ものを、製品の韓国語部分を英語表記にした上で日本のクラファンサイトに持ってきた、ということのようです。立ち上げたのは20代の女性とのことで、その行動力を尊敬すると同時に、盗撮によって心を傷つけられる人の多さを思うと悲しくなります。

「レッドカードプロジェクト」クラウドファンディングのページ

スマートフォンのカメラレンズにレッドカードをかざすだけで、隠しカメラをキャッチ!クレジットカードの大きさで携帯しやすく、丈夫な素材で半永久的に使えて、1枚323円以下で身を守れる隠しカメラ簡易探知機

カード一枚、たった一秒で隠しカメラを見つけられる方法!レッドカードプロジェクト – CAMPFIRE

ほほう!めちゃくちゃ便利!これ欲しい!
だけど、検索してもこの終わってしまったクラファンと海外通販サイトくらいしか出てこないんですよ。がっかりだよ。

買えなくてもだいじょうぶ、しかし…

でも、これって実は自分で作れます。(作れるというか、買えるというか)
ただ、これって万能な盗撮発見器ではなくて、使うとなるとけっこうむずかしい。

そもそもなんで盗撮が見つけられるの?

盗撮系のカメラには、赤外線というものを出す製品が多いです。赤外線は人間には見ることができない光なので、ばりばりに出ていても人間にはわかりません。でも、カメラには見えます(なので、赤外線を出せるカメラは暗い場所でもまあまあ撮れます)。肉眼では気づけなくてもスマホのカメラで撮れば映るので、画面を通して見ることができるんです。しかし、見えるとはいえそのままではちょっと見づらい。ほんの少し、ポポポ…と光ってるだけで、とっても地味なので。

そこで、あの赤い透明な板を置くと、わあ、なにも置かない時より見やすくなった。やったね!

……ということなんです。
あの赤いカードの仕組みは、それだけのことなんです。
クラファンの説明文でも、スマホと赤いセロハン紙さえあればこの仕組みは再現できるものですよ、としっかり書いてあり、親切だなと思いました。

つまり、なんでもいいのだ

赤くて透明でまあまあ丈夫なものなら、なんでもいいです。文房具屋さんで売ってる暗記用の真っ赤な下敷きありますよね、あれで同じことができます。

いまこんなカワイイのあるんだね。わたしのときはこんなにおしゃれなものはなく、シートとペンがセットになってて、でかでかと「暗記用!」みたいに書かれたやつ売ってました。たしか赤と緑があった。買ったことはないです。なぜなら勉強しなかったから……。

スマホさえあれば簡単に見抜ける?

だとよかったんですが、現実なかなか厳しい。

「スマホのカメラを通せば映る」と書いたけど、iPhoneの外カメラには映りません(自撮り側ならOK)。iPhoneの外カメラは赤外線をカットしているので、ダメなんです。
これは決してAppleが盗撮犯の味方なわけではなく、少しでも人間の目に近い自然な色味に仕上げるため、良かれと思ってカットしてくれているのでどうにもなりません……iPhone以外のスマホでも、赤外線カットフィルタがついてたら映らないです。

あと赤外線の届く距離って限界があるので、ある程度カメラに近づいた状態でないと難しいかも。
サイエンストレーナーさんの動画があったので参考に載せますね。赤いものを通さなくても、さすがにこのくらい近づけばけっこう見えるね。

そもそも赤外線を出さないカメラの場合は、最初からどうにもならないです。といっても、わたしが今まで撮られた(と気づき、さらに取り上げるのに成功した)小型カメラについては、確かにほとんどついていそうではありました。
というのは、やられた後はいつも、自分が撮られたカメラをネットで探していたんです。どういった機能がついたものか把握したかったし、全く同じ製品が売られているページを見せるとスタッフにも警察にも話が早くてよかったので。でも検索しながら毎回吐きそうになりました、あれは被害者がやるべき作業ではないよなあと思います。精神面に悪影響すぎる。

力を発揮する時とそうでない時がある

この赤いカードが使えるのってどういう盗撮だろうと思うと、外出先のお手洗いがいちばん向いているかなと思います。トイレの個室、更衣室、ホテルの部屋などで、カメラが設置されていないか探して確かめるという用途に適していると思う。
一方、セックスワーカーが利用客からの盗撮を見破るため、というのは、あまり現実的ではなさそうです。お客さんがいるのに、カードをセットしたスマホを部屋のあちらこちらにかざしてみるって、難しいですよね。世にあふれる盗撮発見アプリ(これも仕組み的には同じで、赤外線が見えやすいような画面にしてある、らしい)の方がまだいけるかもしれない。難しいことには変わりないですが…。

戦える可能性があるとしたら、考えるのも嫌だし言葉にするのもおぞましいですが、店の人間が仕掛けたカメラでしょうか。デリヘルであれば客だけ警戒しておけばいいものの、メンエスなどでは店員が立ち入る部屋で接客するので、備品や設備に紛れ込ませて設置するだとかそういうこともできてしまいます。こうして書くのも嫌になる最悪の最悪ですが、何回か聞いたことがあります。

結局自分の目で怪しげなところを考えて何とかしていくしかないのかと思うとしょんぼりしますね。盗撮カメラの技術が成長して身近になるのと同じスピードで、盗撮を探知する技術も身近なものになればいいのに!そして何より、仕事中の風俗嬢が対象であろうとも盗撮は卑劣な行いであり決して許されない、という社会の空気が成長すればいいのに。

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