話してみよう!ストーカー対処入門【2】他人に相談する編

前回:やってみよう!ストーカー対処入門【1】自分でできる準備編 からの続き。

前回に引き続きストーカー被害の話です。ここでは単にストーカーいやだねーこわいねーという段階でなく、実際に脅威となる人物が現れてしまった場合について。

出禁は強いが、たまにやばい

お客さんのうちの誰かがやばくなった場合、最初に相談するのはやはりスタッフ、店長になると思います。だいたいはNGにしたり出禁にしたりして、それで終わりになればいちばんいい。来店や電話が来ても「ご予約で埋まってます」で突っぱねているうちに何かを察して消えてくれる場合もあれば、何ひとつ察することなく延々と突撃してくるネバーギブアップ鉄メンタルの持ち主には理由をはっきり告げたり、時には弁の立つスタッフがこんこんと言い聞かせて(裁判長の説諭のように…)、とかもあります。

問題なのはそういうのが効かない、あきらめない、それどころかかえって燃え上がってしまうやつ。
「店で会えないんなら店以外で会うしかない」となってしまうパターンのやつです。そこで柔軟な考え方をするな!
お店の監視が届かない私生活の空間、またはインターネットに場所を移してストーカー行為に進化してしまうこと、絶対ないとは言い切れません。

「会って謝りたい」「最後に一言だけでも謝罪させてほしい」と、そういう人はよく言う。そしたら「一度だけ我慢してそれで終わりにできるなら…」って思いますよね。自然な気持ちの流れだと思う。でも、
終わりません。
終わらんのよ。終わったためしがないのよ。まあそうなるよな……(覚えがある)

出禁が最強なのは確かです、いちばん有効な選択肢。なんだけど、上位数%の激烈まじやば案件が店の外に出ちゃうといういかんともしがたい問題があるんですよね(だいたいはないけどね!たまーーーにだけどね!)だから、どんなに誠実で安全に見える人であっても最初から個人情報を知られちゃいけないんです。擬態型がいるというのももちろんそうだけど、人って誰でも変化する可能性を秘めているので。

店は強いが、たまに無

で、店の外でなにか心配なことが起こったとき、お店側が協力してくれればいいんですが、人による店によるとしか言えません。
もちろん「店が出禁にしたために店の外で危険が及んだ」ということを理解し、鮮やかな手腕で速攻解決してくれることも普通にあります!脈々と積み上げられ受け継がれたノウハウがある店や人、トラブル対応のすこぶる上手い店や人、ちゃんとあります。最初からあきらめたり遠慮せず、一応相談しましょう。

しかし中には徹底的に「店の外のことは関係ないし知らんし」ってケースもある。せめて電話番号があれば、「ヤンチャな店員の設定で彼氏が電話、一発終了」みたいな劇的解決もけっこうあるのに。[*1]何もかもすべて「かえって燃え上がり」リスクはあるんだけどね……どんな対応(もちろん「何もしない」も含む)だろうと何もかもすべて。

あとね「ストーカーぎみな客ができて出禁にしたが不安なのでその店を辞めた、そのあとそいつが私生活の場に出現した」っていうパターン……それで誰にも頼れない状況になる、ひとりで戦わなきゃなんなくなる、ってケースがめちゃくちゃ多いと思う。この「いつの間にか詰んだ!」な展開、陥るとめちゃくちゃ孤独、ひしひしと孤独です。困りますね(覚えがある)。

本来ここで頼るべきものが、ない

これってストーカーなのかも…と悩む人に向けて書かれたであろう数々の文章は、ここで「友人や家族に相談しましょう」となります。でもそれができる人、セックスワーカーにはあんまりたくさんいないと思う。とくに家族。まず仕事をカミングアウトするところから話を…というのは過酷だし、その点については伏せてうまいこと…というのも、不可能じゃないかもだけど相当難しいでしょう。

(できる環境にある人だって、「信頼できる大切な人に、助けてほしいと言う」って気軽にできることじゃないですが……でもできる相手がいるのであれば、話してみてほしい。わたしだったら話してほしい!)

「え、じゃあいきなり警察かよ…」になる人、少なくないと思います。1本めのハードルが高いわけです。

どの程度で警察は助けてくれるの? ストーカーと認めてもらえる?

警察がいう「ストーカー行為」の定義はこんな感じになってます。このうちひとつでも繰り返したら(1回こっきりではダメらしい)ストーカー。

  1. つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき
  2. 監視していると告げる
  3. 面会、交際などの要求
  4. 著しく粗野、または乱暴な言動
  5. 無言電話、連続した電話・メール・SNS
  6. 汚物等の送付
  7. 名誉を傷つける
  8. 性的しゅう恥心の侵害

参考:警視庁|ストーカー規制法

  • ブロックしても捨て垢作ってしつこくリプやDMしてくる
     → 5(もう送ってこないで、ブロックします、と告げてあれば)
  • お店や最寄り駅などあなたの近くにいたことをアピッてくる
     → 2(この前○○にいたでしょ、とかもこれ)
  • いらないと言ってもプレゼントを押しつけてくる
     → 3(贈り物を受け取るように要求するのはここに入るようです)
  • 「会ってくれないなら自殺してやる」とか言って脅してくる
     → (「自殺してやる」は「殺してやる」と違って必ずしも脅迫罪にはならないものの、ストーカー行為には当てはまる[*2]岩手県警察脅迫・恐喝弁護士相談ナビんだそうです)
  • 「風俗で働いてることを昼の職場にバラしてやる」
     → 7(これはもはや普通に脅迫罪にもあたるのでは)

参考:café Mizen(警察庁)

かしこまった言い回しなので少し分かりづらいですが、つまりこれらのやばい客あるあるは全部ストーカー行為だということです。[*3]正確にはここに「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で」やらかしたこと、という条件(これいります?と思う。憎悪感情によるものも守ってほしい)がつくのですが、わたしたちの受ける被害ってだいたい当てはまるだろうと思うのでここでは省きました。

警察に行くのって勇気がいる

わたしの場合は、いきなりがっつり警察のお世話になりました。これは警察という存在にまったく臆することなく堂々としていましたなぜなら市民の権利ですので☆ということではなく、あれこれ悩んで初手が110番、つまり悩んでいるうちにせっぱつまった事態が起こったという残念なケースです。みんなにはこうならないでほしい。

一度がっつりお世話になったら多少は慣れたというか、さすがに警察官の腕の中で「マルガイ確保(だっけな?被害者のガイをとってそう呼ぶんだって)」と言う声を聞いて背中をよしよしされるところまで行ったら多少は腹をくくったというかハードルが下がったんですが、でも、それでも多少なんですよ。警察、やっぱ、行きづらい!何から何まで威圧感がすごい(気安い場所になっちゃだめなんだろうけど)。警察署の個室みたいなとこ、人が何かを言うのを諦める効果があるフレグランス置いてるのかな!?って匂いさえするもん。なんなんだろうあれ。

とにかく言葉にして誰かに言おう、そして他人から言葉にしてもらおう

今は相談先がいろいろあるので、まず弁護士さんに相談してみた、という人もいるのではないでしょうか。
もちろん警察にも行ったほうがいいというか、だいたい結局最終的には行くことになると思う……ていうか十中八九なる。なります(理由は次回…)。なるんですが、話せる人がだれもいなくて、あまりに警察の心理的ハードルが高くその前のステップとして挟みたい、と考える場合は無駄ではないとも思います。ただ、時間に猶予があればね。

大切なのは、この問題をなんとか言葉にし、自分の頭の中から外に出すことです。
言葉にして自分の外に出す、それを聞いてくれる他人が目の前にいる、という状況になることです。
そして、他人から「なるほど、それで困っているんですね」「あなたは悪くないですよ」と言ってもらい、それを自分の耳で聞く、確かに受け取ることです(落ち度があることと「悪い」は違うので、自分のミスを探して遠慮しなくていい)。

なにかを決意して行動を起こすとき、とくに他人に対する態度を変えて抗う態度を取る決断を下すとき、わたしたちはつい「決定的な出来事」を待ってしまいがちです。でも、こういうことは少しずつ徐々に迫ってくるものだから、とりわけ大きな被害などを待っていてはだめで、どこかで意を決さないといけない。でもでも、その「どこか」を自分で決めるのが難しいんですよね。
他者への思いやりや敬意、自分には知りえない事情を慮ることを習慣にしていた人ほど、スムーズに動けないかもしれません。そんなとき背中を押してくれるのは自分ではなく他人の言葉です。関係の外側にいる、善意の人の言葉を求めに行ってください。

弁護士さんに相談するメリットとは

【1】肩書きで加害者が弱体化することもある

大声上げてイキり散らしていたのに男性スタッフが来た途端に土下座しだすやつ、あれと同じ現象。これで即日解散になってくれたら言うことなし。

たとえば内容証明(「お前がやってることはわかってるよ、これ以上続けると出るところに出るし直ちにやめろ。言ったからな!な!」ということなど書いた、いかつ〜いお手紙)を出し、そこに弁護士さんの名前があったら、それだけでびびる相手はけっこういそうです。

【2】証拠集めなどのアドバイスをもらえる

パニクっている自分だけで頭を悩ませるより、こういうことに慣れている弁護士さんのほんのちょっとの助言で視界が開けることもあると思います。そのケースごとの状況に応じて、効果的な証拠の集め方を教えてくれたり、見逃してしまってる証拠の存在に気づいてくれたり。当事者って、いっぱいいっぱいになってしまっていろんなことに気づかなかったりするものだから。

【3】一緒に警察に行ってもらえる

これはけっこう大きいんじゃないだろうか、気持ちの面でも実際の面でも。警察たるもの、小娘がひとりで来たからって対応が違ってはいけないんですが、100%信用できるかというと、ねえ、人間だしね…(覚えがある)。警察で当たった人の腰が重い場合(証拠が弱いせいで動けないとかじゃなく、単に面倒くさがられてしまうことはある)(あるなよな!)、弁護士さんがいてくれるとまじで頼りになります。
あとやっぱり、こういう件で初対面の警察官に向かって首尾よく要領よく話をするって、向き不向きもあるし誰もが最初からできることじゃなく……弁護士さんだと(こういう考え方ってよくはないんだろうけど)、こちらがお金をお支払いしているってことで生まれる心の楽さでお話も楽になるとか、そういうのもあると思うんですよ。

お高いんでしょ?

ぜんぶでいくらかかるのか、想像できないからこわいよね。
料金を公開している弁護士さんのサイトをいろいろ見て回りましたが、だいたい相談料は1時間で1万円前後が相場みたいでした。さっきのいかついお手紙が5万円とか。
それ以上のこと、たとえば損害賠償請求とかをお願いするとなるとやはりまとまった金額がかかります。[*4]参考:市民のための弁護士報酬の目安(日弁連が報酬について弁護士にアンケートをとり、まとめたもの)

しかしなんにせよ、まったく何も生まない、つらいだけのことでお金までなくなるのはつらすぎです。こんなことのために心身すり減らしてがんばって働いてるんじゃないんだよ〜!

とりあえず無料でお話だけ聞いてくれる相談先

というわけで、心理的なハードルも比較的低そうな、

  • 無料で
  • 電話でなくメールやチャットで相談ができる

ところをあげておきます。

よりそいホットライン

困りごと情報提供|よりそいホットライン あなたのお悩みを解決する方法がここにあります
24時間受け付けている、チャットで相談できる窓口。
毎日 16~22時はリアルタイムで相談員さんとチャットでお話できます。

・チャットする時間がとれない人のために
今の状況をメールフォームに書いて送ると一週間ほどで適した支援の情報などをお返事してくれるメールサービスもあります。早めに動こう。
・女性あるあるの問題を抱えてる人のために
DVやセクハラに特化した曜日があるそうです、わたしはここにストーカーも入ると思うよ。
リアルタイムの相談は水・木曜日の13~19時とのこと。

困りごと情報提供
妊娠・中絶・性被害・DV・セクハラ・パワハラ・離婚、アウティング・性別違和・カミングアウトなど性的指向・性自認、被災、外国語などお困りの内容について相談員が情報提供します。専門の相談員が対応致します。

・とくに30代までの女性のために
若年女性支援“これからプロジェクト” | 一般社団法人 社会的包摂サポートセンター
上の「女性向け窓口」となにかちがうのかな?と思いましたが、たぶん若い年代の相談者さんがとりわけ多いから、もうひとつ曜日を増やした、ってことかな。
リアルタイムは毎週土曜日の13時から19時。

法テラス

メールでのお問合せ|法テラス
実は法テラスにも地味にメールサービスがあります。
法テラスは基本的に民事(警察は立ち入れないタイプのもめごと)の法律相談をするところなのですが、困りごとの相談に対しては「そういう事情ならこういった支援や制度があるので、ここに行くのがいいですよ」といった助言をお返事してくれるようです。

メールでのお問合せ|法テラス

余談 〜とはいえ私たちは知っている〜

まじで余談というか、つくづく困った話なんですが、お店に当たり外れがあるように、弁護士さんにもいくらかのガチャ要素があるのは残念なことです。
たとえばTwitterを見ているだけでも、驚くほどお粗末な倫理観を晒してしまっている人が目につくことはあるし、弁護士という職業に対して心底失望させられるような件はしばしばあります。が、もっとダイレクトに「ダメな客」という形で思い知らされてもいますよね。

医師と並んで「自称」の多い職業なので、俺弁護士なんだよね、と言われただけではフ〜ンなのですが(いや、口ではフ〜ンじゃなくてすごーいって言うけども)、たまに本物がいて、しかもちっとも正しい客じゃなくてむしろ迷惑な人間で酷いことバンバンやらかして、おまえ、そのゆるゆるガバガバ自律心でどうして司法試験なんかに合格できたんだよ!? って驚愕させられたことがあります。本当に弁護士なのだと裏が取れたときの衝撃と恐怖。日本の司法は(wow×4)……になった。司法試験って世間で言うほど難しくないのか?そういうことにしてあるだけで、実際はくじ引きで選んでるとかなのか?[*5]まったく同じことを医師免許に対しても思うことがある。病院で思ったことはないが店ではしょっちゅう思っている。

依頼人に対して風俗嬢相手と同じ態度とは思ってないし仕事中はちゃんと上辺を繕ってる(でなきゃやばすぎるよな)んでしょうけど、まあお察しですよね。性暴力や女性の被害などについての根本的な軽視、理解の放棄、属性による見下し、それらを隠す気すらない人がどんな職業にでもいるということなんだと思います(医師や弁護士や裁判官はここに入っちゃいけないですよね本来は)。向こうからよけてほしいけど、ぶつかってしまうことがあるかもしれない。万が一ぶつかったときは、絶望しないでもういっかいガチャを回そう。カプセルにグイグイ戻したそいつ、わたしに投げつけてくれて大丈夫です。地獄の回覧板で名前をまわします。

次回、満を持して本題というか、警察に行く編です。たすけてピーポくん!

References
1 何もかもすべて「かえって燃え上がり」リスクはあるんだけどね……どんな対応(もちろん「何もしない」も含む)だろうと何もかもすべて。
2 岩手県警察脅迫・恐喝弁護士相談ナビ
3 正確にはここに「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で」やらかしたこと、という条件(これいります?と思う。憎悪感情によるものも守ってほしい)がつくのですが、わたしたちの受ける被害ってだいたい当てはまるだろうと思うのでここでは省きました。
4 参考:市民のための弁護士報酬の目安(日弁連が報酬について弁護士にアンケートをとり、まとめたもの)
5 まったく同じことを医師免許に対しても思うことがある。病院で思ったことはないが店ではしょっちゅう思っている。
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