風俗で働こうかと迷ってる女の子のことを考えて書いた

さまざまな事情で仕事を失ってしまう事態に見舞われている人が増えているときいて、セックスワークという選択肢を検討している人もいるだろうな、と思いました。
こんなことはわたしが言うまでもないんだけど、この仕事はめちゃくちゃ感染リスクが高いです。はい知ってる。全員知ってる。そして、現在この業界はそれなりに混乱中です。入ることが良い選択だとはとても言えないのもそれもそうですし、入れない、ということも起こりえます。たぶんそれもみんな知ってますね。

わたしのいる東京23区内では、休業しているお店もあれば、開いているお店もあります。開けてはいるけれど新人さんの採用を見合わせている、というお店もあります。もともといる女の子たちが出勤を控えたため人手が減ってしまって誰でもいいから来てほしい(ただし一人当たりの稼ぎはうんと少ないけど)となっているお店も、中にはあります。いろいろです。
新しい女の子を迎えることはお店にとって大事なのですが(新人さんが入ったならどんなタイプの子であれ一度は会いたいな、と思うお客さんがどの店にもいるので)(わあ、なんかめっちゃキレイな書き方しちゃったぞ)、それを切り捨てるような店もある状況、ということです。

ものすごくものすごく悩んで、勇気を出してこの業界に飛び込んだのに、面接で落ちたり、どこかに入店できても想像していたような収入を手にできず「ここまで覚悟を決めても、私の人生ダメなんだ」というすさまじく辛い気持ちを持たされてしまう人がいたらめちゃくちゃ辛いな、なんて、勝手に想像しては勝手に心配しています。

「風俗ですらダメなんだ」という考え方、まあ間違ってはいるんだけど、これは風俗の仕事をバカにしてるとかじゃないんだと思う。世の中が「風俗業は女性のセーフティネットだ(=覚悟さえできれば女なら誰でもできて、なんとかなる)」なんてことを言っていろんな問題から目をそらしているから。それをある程度内面化してしまってるのはしょうがないとわたしは思います。
実際そう機能してしまってるところは大いにあります。でも、本来そうではないし、それではいけないと思うんですよ。こんなに向き不向きがあって人を選ぶ、そしてちっとも安全じゃないセーフティネットなんかあっていいわけないので。風俗業、実は他の仕事がそうであるように様々な適性が関係します(適性があったとしても今はいろいろと無理)。

でも「風俗ですらダメなんだ、私はダメなんだ」と思わされてしまう人、いると思う。
「身体を売ってさえも、この程度なんだ」って。
風俗で働くということは身体を売るということではない(お客さんが買えるのは身体を介したサービスを受ける権利、風俗嬢もアスリートも芸能人もお医者さんも、身体そのものは持ち主のもの!)のでこの慣用表現はあまり使いたくないけど、でもこれもさっきのと同じで、普通に使われて生きちゃってる言葉だからね、身体を売る=尊厳を売る、みたいに思わされちゃってても仕方ないです。
とにかく、がんばって決断したのに「身体さえ売れない」とか「私って需要ないんだ」なんてさらにつらい思いをさせられる人がいるかと思うとつらいんだよ……(先に風俗嬢になった人の身勝手な感情でしかないけど)。
けど、そう思わせちゃいそうで苦しい。需要なんて言葉を自分に向けるの、いやじゃないですか。でも仕事がつかないと、そういう気持ちになっちゃうのを止められないことってあると思います。とくにお金の面で不安があると、さらに落ち込みやすくなるので。

さらに心配なのは、なんでもないときに比べると確実に増えているであろう態度の悪いお客さんに傷つけられること。
こういう時に遊びに来る人の中には「もうどうにでもな〜れ(笑)」という投げやりさや、もっと悪いと破滅願望のようなものがある人も混ざりやすいからです。そしてそれに女の子を巻き込んでもなんとも思わないような状態の人。
「こんな時に来てやったんだぞ?」という謎の理由で威圧して、横暴な要求を通そうとしてくる人も想像できるでしょう。自分のほうが立場が上だ、逆らえやしないだろう、と自信を得て暴挙に出るような人も。
いま働いている人たちは、日々戦っています。そういうやつらと。

お客さん全体の数でいえばごっそり減っているので、悪い客でにぎわいごった返している、ということではありません。胃の痛い思いをしながら長い時間待機して、ようやくひとつ仕事につけたと思ったら有害な相手、ということがまあまあ起こる、ってことです。それでもわたしたちのお給料は完全歩合制がほとんどですので、相手をしないことにははじまりません。

そして「業界に慣れた子じゃない&いま世の中全体が非常事態」となれば、利用客に限らず頭が良くて根性が悪い人間につけこまれたりナメられたりの目にあっちゃうかもしれないし、慣例と化した謎のデタラメに惑わされたりもすると思う。
たとえばTwitterには、風俗嬢さんのフリをしてるけどこれ良くない紹介屋さんだな、みたいなアカウントがある(これはいつでもあるけど、特に増えていそう)し、求人情報の「入店祝い金」「完全保証」は必ず全員もらえるものではないです。まるっきりのウソなこともあれば、条件を満たした人だけ支給されることもあるし、その「条件」が、奇跡を起こさないと達成できないよう設定をされていることもあります。本当のことが全くないとは言えないものの、求人広告の背景の飾りとして使ってる店もけっこう多いこと、経験者なら知っているのだけど、そうでなければわからないですよね。
「紳士的なお客様のみです」に関しては10000%飾りです。あれは文字情報ではなく枠線と同じもの、イラストの一種だと思ってください。画面の汚れでもいいです。拭いても取れないけどね。


ここまでを4月の初めに書いて、読み返して、自分が言ってることがとてもおこがましく意味のない、役に立たないものに思えて、書くのをやめていました。
でも、この時期にわたしがこんなことを考えていたってこと、世の中がそういう感じだったって記録を残しておいてもいいかなあと思い、いまは4月30日の夜になっちゃったんだけど、最後まで書くことにします。この間に閉めるお店が増えました。子育て世代への支援金が、風俗業の人には不支給とされて議論を呼んだりもしました(見直されました)。生活に困って風俗に可愛い子が来るだろうから楽しみにがんばろう、といった言葉がさまざまな捉え方で取りざたされたりもしました。


生活の事情で風俗の仕事をしようとしている誰かに、すでに働いている者として勧めるか? って言われたら、とても無理です(自分のことだけなら、この仕事をしなければ出会えなかった大切な友達のことを思えば「これはこれでよかったなって思うよ〜」とへらへらできるのですが)。
でも、検討するに至った事情を解決する術を示してあげられるわけでもなく、やめなよと言うこともできない。

本当は、もしこの業界で働き始める人がいたら、働く前に、たくさんたくさん思い知ってほしい。あなたはめちゃくちゃ最高だってこと。そうじゃないと言ってくるものの声は聞かなくていいってこと。この仕事をしても、あなたの何かに傷がついたり色褪せたりすることなんか一切ないってこと。金額はあなたの持ってるいろいろな良さの価値をそのまま反映したものではないってこと。思った以上に稼げたら、それはあなたの可愛さと強さとかしこさとがんばりのおかげだってことを。
そしてそれでも、やっぱり今は、せめて、せめて世の中がもう少し大丈夫になってから……って、思います。知りもしないあなたが苦しむことが勝手に怖いのです。助けてあげられないくせに!

考えれば考えるほど、偉そうに言えることなどなにもなにも、なんにもない。勧めることも止めることもできません。
だから、わたしでも言えることを探して言おうと思います。
もしかしたら、風俗で働く前に試せることが、もしかしたらだけどまだ残ってるかもしれないので、ってこと。

社会福祉制度にはいろいろな課題が、溜息が出るほどいっぱいあります。パワー不足だったり、わかりにくかったり、人手が足りていなかったり、時間がかかりすぎたり。あと偉い人がずるかったり。
その中でわたしがつくづく思うのが「ややこしい情報の洪水もしくはサッパリ周知されていない更地から自力で制度にたどり着いた人しか受けられないように作ってある」

知識を得る機会があってすでに制度をよく知っている人、ややこしいところに食らいついて調べまくる気力体力のある人、そしてその身内や友達、とかでないと難しいんですよね。困ってる人に元気があることってあんまりない、困窮してるけど冷静かつ気力に満ちていてテキパキ行動できる、なんてなかなかないのに(世の中のありようによっては実現できるのかな)。それが悔しいので、緊急小口資金のこととか調べて書いたりしたんだけど、もうちょっと何かしたくて他のいろんな支援についてもざっとまとめました。

公的支援を受けるのは、気力がいります。ほとんどの人には慣れない種類のコミュニケーションが必要になります。でも相手はいちおうプロなので、ひとりで困り続けるよりはずっと話が始まるはずです。
そして相談したり支援を受けることを通じて経験したコミュニケーションは、もしもこの先に万が一、感染症が落ち着いた未来に、結局のところ風俗業をやることになったとしても、なにかしらのささやかな助けになるように思います。これはわたしの個人的な感覚ですが、風俗の仕事を含む多くの接客業には「親密で朗らかなコミュニケーションの形をとった、交渉」という要素があると思うからです。
交渉といっても、争ったりやり合うみたいな意味とは少しちがって。自分に必要なことを把握し、相手の意図、できることとできないことを理解し、自分のことを伝わるように伝え、その上で求めるものを実現させる、という作業だとか、相手の指示を受けて素直に耳を傾けていながらもその時内心で自分をへりくだらせない練習みたいなもの、直接的にではなくても役に立つと思う。少なくとも面接でちょっとだけ緊張しなくなるかもしれません。

わたしの経験では、風俗で働こうとする人、そういう考えが浮かぶ女の子は、けっこう自立心が強いというか、自分で決着をつけよう、自分のやることで何とかしようと考えるタイプ、他人を巻き込み困らせることを自分に許さず、自分の手の中できちっと終わらせたい、というタイプの人が多いように見えます。
それはすばらしい長所だったり、それより他のやり方が性に合わないとか、人に助けを求めるやり方を経験として教わってこなかったとか、いろいろあるとは思うんだけど、人の手をわずらわせることを怖がらないでほしい。それはお金みたいに全員の間をぐるぐるめぐって、みんなを生かしているものだと思うからです。

今はどこもかしこも混乱している世界ですが、相談して頼って困らせて、しれっとふわっと生きていけるかもしれません。
それでもどうしてもどうしてもやっぱり、ここへ来ることになったら、あなたがそれまでのすべてを取り返せるくらい毎日毎日ラッキーであるように、祈っています。

5/7 少し加筆しました。

I footnotes
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